<< 台峯日乗101 | main | 台峯日乗103 >>

スポンサーサイト

  • 2019.09.14 Saturday
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


台峯日乗102

 

カンディンスキーの芸術論集『芸術の精神的なことについて』(2000年に新装発行された著作集では『芸術における精神的なもの』と訳されているが、私は私のエッセイ集の書名をこれをパロって『芸術の非精神的なことについて』にした)の第6章「形態言語と色彩言語」の冒頭に彼は、次の引用を引いている。

 

 自己のうちに音楽をもたず、甘き楽のしらべにも心動かされざる人は、裏切りと悪だくみ、追いはぎにこそ相応しい。その魂の動きは、夜のごとく鈍く、その情は冥府のごとく暗し。そのような人を信じてはならぬ!・・・音楽に耳を傾けよ!

 

シェイクスピア『ヴェニスの商人』第5幕の台詞だが、私の好きな福田恆存の訳では

 

 おのれのうちに音楽をもたざる人間、美しい音の調和に心うごかぬ人間、そんなやつこそ謀反、陰謀、破壊に向いているのだ。その魂の動きの鈍きこと闇夜のごとく、情感の流れの黒きこと黄泉と境を接するエレボスのごとしだ。こういう人間を信用してはいけない・・・さあ、音楽をお聴き。

 

福田訳のエレボスとは地下世界を象徴するギリシャ神話の神のことだが、今年11月に朝日カルチャーセンターで講座を持つことになり、講座名は「バウハウスのクレー」にした。そこで私は早々と資料に当たりはじめ、最初に頭に浮かんだのが上のカンディンスキーの引用である。バウハウス設立100周年、ドイツは元より世界中でバウハウス記念行事が開かれている。先日もNYの友人がNYタイムスの記事を送ってくれたのだが、コロラド・アスペンに関する記事で、バウハウス教師ヘルベルト・バイヤーがアメリカに移住後、如何にアスペンの街作りに(バウハウス的に)貢献したかという興味深い内容であった。グロピウスが教鞭を執ったハーヴァードは云うまでもなく、幻の美術学校ブラック・マウンテン・カレッジ(ノースキャロライナ)、シカゴのニューバウハウス、モホリ=ナジ、ミース、アメリカにはバウハウスの亡霊若しくは残滓が数多く残されているし、グロピウスの理念、すなわちイデー(Idee)プラトンのイデア、ものの本質・根源、どんな物質も通過してしまうニュートリノのように、精神の壁を突き抜けるバウハウス理念がアメリカ国内にも浸透した。

 

私の講座のアイデアは、カンディンスキーが何故、芸術論集(バウハウスより以前、1909年頃に彼は執筆したのだが)にシェイクスピアを引用したのかをナビゲーター(通奏低音)に据えてクレーのバウハウスでの役割を考えることなのだが、上手くいくかどうかは未だわからない。上の引用はヴェニスの商人の物語とはまったく関係のない(多少はあるが)突然シェイクスピアが挿入したエピグラムなのだが、直感的に、バウハウス時代のクレーを言い当てているように思えるからだ。これは実験であり、これから四ヶ月あまり、資料に当たりながら私の直感が正しいかどうかを試してみたい。従って当欄の読者は朝カルの講座などに来なくても、今後のブログを読んで戴ければ講座を聞くことになる。講座はむろん難解な話題を避けて平易な日常語で(できれば筒井康隆さんの講演「誰でもわかる『存在と時間』」のように)話すつもりだが・・・。

 

 女子ワールドカップサッカーの決勝が終わった。結果を観ずに、テレビ放送の途中で眠ってしまったがアメリカの優勝だった。順当である。2011年7月17日、なでしこジャパンが優勝したその日、私はフランクフルトの競技場にいた(上の画像はその日の入場券とそのとき食べたホットドッグの袋、わたしの宝物である)、私の人生で最も誇れる(自慢できる)見物であった。かつて当欄にも詳しく書いた。

 

 

 

 

 


スポンサーサイト

  • 2019.09.14 Saturday
  • -
  • 01:04
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>
sponsored links
selected entries
archives
recent comment
recent trackback
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM