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台峯日乗 88

Evi at Auction

話が相前後するが、スイスでの要件のひとつはコーンフェルト・オークションに行くことだった。

 オークションで何か作品を競り落とす予定はなかったが、老コーンフェルトに会えるのもこの先たびたびという訳にはいかないから、今年から出来るだけ多く彼の顔を見に出掛けようと思っている。今年のオークションは比較的地味なもので、特に目立つ名品もなく、かと云って貧弱な内容では決してなかったが、いかにもプロフェッショナルと堅実なコレクターの集いの感を強く持った。

 エヴィ・コーンフェルトは今年93才、博士号を持つ歴とした美術史家でもあるが、なによりもオークショナーとしてのキャリアは世界で一番長く、今年もメインセールの後半に登場して、ときどきトンチンカンな遣り取りを交えながら、会場を笑わせ、何よりも芸術作品への愛情とは何かを身をもって示した。本来オークションとは、芸術作品と市民社会とを繋ぐ接点なのだが、昨今の経済ゲームに与されてからそれは希薄である。辛うじてコーンフェルトのところだけが僅かに古き佳き伝統の匂いを保っている。

Kornfeld dinner これも古き佳き伝統の一環だが、その日オークションに参加した人はみな、ディナーに招待される。作品を買った人も買わなかった人もおしなべて同様にご招待を受けるのである。このことがエヴィの思想を良く物語っている。かつてはコーンフェルト家の大広間で開かれていたディナー・パーティーだったが、今は人数も増えて賄いきれなくなり、ホテル・ベルビュー・パレスのサロンを借り切って行われる。今年は130名ほどだったろうか、大晩餐会であった。とても美味しかった、お腹いっぱいいただいた、デザートまではとても手が出なかった。



 老コーンフェルトのテーブルを訪ねて彼にお礼を云うと、これが93才かよ〜と思わせるほどの強い力で手を握られながら「来てくれてありがとう!」を三度も繰り返された。どう考えても逆だ、お礼を云うのはこちらの方だろう。「むかしはあんなに多くの日本人ディーラーが来ていたのに、今日はおれ一人だったね」とエヴィに云うと、首を小刻みに左右に傾けながらなんとも云えない面持ちが返ってきた。

kandinsky その前日はクレー・センターの新企画展「クレーとカンディンスキー」の内覧会と内覧会ランチに招かれ、毎日美味しい食事に招待されるハッピーな週であった。すでにクレー・センターを退職しているが、チーフ・キュレイターを務めていたクリスティーネ・ホプフェンガルトが6年もかけて制作した展覧会は実に見事で、20世紀前半を代表する二人の画家の、友情と相互の学びとライバル関係が浮き彫りにされている。晩秋から来年1月のかけてミュンヒェンのレンバッハハウス美術館に巡回されるので、私にはもう一度くらい観る機会が与えられるだろう。





 

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