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酩酊

別に酩酊しているわけではない。今日、事務所を訪ねてくださった方からご挨拶にとワインを頂戴したので、仕事場ではあるけれど、夜も更けているのでいま半分ほど戴いているところだ。

早世した梶山季之は、流行作家らしくホテル住まいだったが、朝起きるとすぐにビールを飲みはじめ、それから原稿に向かったという。お酒を飲んで原稿などが書けるのかと私はびっくりした覚えがある。

クレーが、高校を卒業して最初にミュンヒェンに出たとき、お金はなかったに違いないが、ときおりオペラ劇場に出かけ、出演した歌手がどうだったかと、声楽家であった母親にたびたび批評を手紙で書き送っている。その時期、若きクレーはミュンヒェンの場末でお酒を飲んで下宿屋に帰り、酩酊して詩を書いたり散文を書いたりしたが、翌日それを読みかえしてみると、とても読めるような代物ではなく、恥ずかしくてすぐに破棄してしまったとどこかに書いている。ディレッタントとはそんなもので、私にも覚えがある。

むかし、三鷹天文台の裏手にあった田村隆一の家に遊びに行っていたとき(偉そうに大詩人田村を振り回しているが、私が18歳の頃のことだから許されたい)、たまたま飯島耕一さんがいらして、二人で同じような話をされていた。酒を飲んで書く文章はどうにもならんな、と田村さんが云って、ほんとに、恥ずかしくなりますね、と飯島さんが応えていた。でも、と田村隆一が続けた。よほど酒を飲まないと詩は書けないな。

クレーの本がようやく出来上がりそうだ。図版の原稿が一部遅くなって、今夜、スイスから印刷原稿データの入ったCD-Romを送ってもらっている。これはブックカバーに使う絵だから重要。今夜送ってもらっているというのはヘンに聞こえるかも知れないが、国際宅急便の会社が日本には数社あり、DHLという会社に頼んで送ってもらっているのだが、ウェブでその貨物がいま何処にあるのか瞬時に検索できる。さっき、バーゼル空港に着いたようだ。これで飛行機に乗りさえすれば12時間で成田に到着する。たぶんカバーの印刷には間に合うだろう。

先月からクレーの本のことばかり言っているが、どうも今回、私には特別な思い入れがあるようだ。はじめはどうしても気が乗らなかった事情がある。『クレーの旅』と題されたその本は、昨年の夏、マルタ島にひと月滞在した際に、三日間の時間を見つけてチュニジアに渡り(飛行機で45分の近さだが)、クレーの旅行の跡を辿って取材した。1980年代の終わり頃にも私はチュニジアに家族旅行をした。それら二回のチュニジア旅行を元に平凡社からクレーの本を出すことにした。昨年同行したクレー協会キュレイター・林綾野が二千枚ほどの写真を撮ってくれたので何とか出版は可能だ。
原稿の執筆はこれまでにないほど苦渋した。何故だかは分からないが、結局、満足のいくものではなかった。仕方ないからそのまま載せる。しかし、聞きようによっては、満足のいくようなものではなかったのではなくて、けっこう満足しているのではないかと、嫌らしく聞こえもする。

戴いたワインを半分まで飲んだといったが、ブログを書きながらいつの間にか一本飲んでしまった。すこし酩酊に近い。明日の朝、読みかえしてみて、恥ずかしければすぐに削除することになる。

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