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谷中の夕暮れ 6

横須賀

谷中の夕暮れとは如何にも侘びしい。特にタイトルを思いつかないときは、いつもこれにするのだが、もう少し元気が出るような題名を考えよう。

「パウル・クレー 東洋への夢」が終わった。10月18日、横須賀美術館での最終日、閉館と同時に撤去作業を開始した。当初、来日を予定していたパウル・クレー・センターの修復家ミリアム・ウィーバーが急病で来られなくなり、代理でシュテファン・フライが来日した。結局彼は、千葉市美術館から始まった当展覧会の展示や撤去作業のため延べ4回も日本に来たことになる。

 シュテファンは実に厳格な男で、どの会場でもピリピリしていた。18日に展覧会が終わり、21日の午前中にはチューリヒ行の飛行機に積み込まなければならないタイトなスケジュールだったから、横須賀の最終日、閉館したあと夜中まで作品のコンディション・チェックをする羽目になった。翌日も朝から夕方まで作業を続け、その日、無事に都内の美術品倉庫に運び入れ、通関を済ませて予定どおり21日の早朝、成田空港に作品を運んだ。

 慣れているとは言え、急遽の来日だったからシュテファンも疲労困憊したに違いない。私も負けないくらい疲れた。だが、横須賀美術館での作業では、ときどき建物の外に出て、上の写真のような海景を眺めながら過ごしたので、気持ちの晴ればれとする時間でもあった。

 国内や海外の美術館で、海に面した場所に建てられたものはいくつかあるが、横須賀美術館の環境は出色だ。目の前を航行する船の多くは貨物船で、けして美しい姿ではないのだが、船体に書かれた文字をひとつひとつ読んでいると、これはどうやら北欧に向かうらしいとか、シンガポールに向かう船だとか、休憩時間、シュテファンとカフェに並んで座り、想像力たくましく話し合っていると、えも言われぬノスタルジーに襲われた。ハンブルグ、ブランケネーゼを思い出す。

横須賀美術館

 キュレイター林がクレー協会を退職した。今日の午後、関係者には挨拶状を発送した。

 彼女にはこの5年間、多くを助けられた。2002年、鎌倉の神奈川県立近代美術館で開かれた「パウル・クレー 旅のシンフォニー」展のとき、彼女はクレー協会を知って会員となり、ニューズレターの制作などに手を貸してもらうようになったが、5年前、私の仕事を手伝うようになった。ユニークな発想の持ち主で、彼女がいなければ『クレーの食卓』は生まれなかった。残念だが仕方がない。さらばキュレイター林。谷中の夕暮れである。

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