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  • 2020.02.07 Friday
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クリシーの静かな日々

龍安寺

すっかり時間があいてしまった。

 

 そろそろ書かなければ貴重な読者を失うことになる。とてもブログを書く時間が無かった。3月以来、延々今までである。どうしてそんなことになったのか。この間、何があったか思い出すこともできない。老年の危機である。

 

 59歳は老年とは言わないが、間違いなく老人性健忘症が始まっている。先週、歯が抜けた。ゆらゆらしてきたので、掛かりつけの渋谷の歯科医に行ったが、先生が手で抜いてくれた。手で抜いたのに手術代2,500円が請求に載っていた。手で抜こうがペンチで抜こうが手術代金には違いがない、ということだ。歯が磨きやすくなった。脳天気である。

 

 ノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館所蔵、ピカソとクレーの生きた時代展が5月末日終わった。昨年10月名古屋で開会してから約半年、これまでにない苦労を強いられた展覧会だった。

 

 そうそう、思い出した。3月の末、NHK日曜美術館の取材でドイツとスイスへ行ったのだった。本放送は510日だったが、蝶ネクタイが好く似合いますね、とお褒めの言葉を方々から頂戴した。蝶ネクタイが好く似合ったのは、3月初旬のスタジオ録画のときで、それより海外取材の方が大変だった。

 

 本放送をご覧になった高橋文子さんからメールが届いた。お叱りのメールだった。放送の中で、海外取材の部分だが、ルツェルンのフィッシャー画廊初代社長が「反ユダヤ主義者」とナレーションに入っていた。『新版 クレーの日記』を翻訳なさった高橋さんが、実はNHK海外取材の通訳を務めてくださって、彼女は休暇でミュンヒェンに滞在していたが、休暇を返上して取材旅行全行程に付き添ってくれた。フィッシャー画廊とは、1939年、ナチス没収絵画のオークションを行った画廊で、当時スイスでは国際的画商との関係を持っていた画廊の一つであったことから、ナチスがドイツ国内の公立美術館から没収した絵画の販路を託されたわけだが、フィッシャー氏ご自身は反ユダヤ主義者ではなかった。お孫さんに当たる当代の社長さんが取材に応じて下さったのだが、これまでこの種の取材には応じていなかったのだと思う、高橋さんの説得でインタビューに答えて戴いたのだ。

 

 それなのに、初代フィッシャーさんを「反ユダヤ市議者」呼ばわりしてしまった。スタジオ収録の前に、海外取材部分を見せていただいたのに、私はそれを見逃してしまった。どれほど高橋さんが気を遣い、通常なら応じない取材に当代のフッシャーさんが応じてくれたか、結果として、私はそれを忘れてしまったのである。高橋さんの叱咤は当然であった。

 

 一般的に日本人は、ヨーロッパ人にとって「反ユダヤ主義」という言葉がどれほど重いものか想像がつかないだろう。老人には、戦前の「反中国人主義」「反朝鮮人主義」の意味がお分かりになろう。「反ユダヤ主義」は、ヨーロッパ人にとっては、歴史的には、それ以上の重み(と申すか、罪悪)がある。この場合、海外取材の映像を事前に見せて戴きながら、「反ユダヤ主義」という表現を見落とした私の罪は非常に深い。蝶ネクタイどころではなかった。

 

 つまりは、慌ててNHKのご担当者に連絡を取り、再放送では「反ユダヤ主義」の語をカットしていただいた。結局、関係各位みなさんにご迷惑をかけてしまったのだ。こうなると59歳も立派な老人である。おまけに、展覧会が開かれていた神戸が、選りに選って新型インフルのピンポイント地域となってしまい、再放送の時には展覧会の案内も省かざるを得なくなってしまった。展覧会は再放送の翌日から一週間閉鎖となってしまったのだった。

 

 海外取材から帰って間もなく、神戸の展覧会展示作業のために、デュッセルドルフからアネッテ・クルツィンスキがやってきた。展示作業の予備日、私は彼女を連れて京都に行った。春たけなわの美しい日であった。

 

 上の写真は、その日、彼女と訪れた竜安寺石庭。しだれ桜が満開であった。おそらく将来、この写真を見て、私は言うであろう、さまざまなことおもひだすさくらかな。



Muenchenbuchsee

 実は今回の海外取材で、私は初めてクレーの生まれ故郷ミュンヒェンブーフゼーを訪れた。放送にも出てくる、クレーが1933年スイスに亡命して後、画布に使うジャガイモ袋を貰いにいった農家は瀟洒な建物であった。 


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